半世紀にわたり中身は人間の心臓だと思われていたミイラ → 心臓ではなく、人間でもなかった

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約50年前から博物館にて保管されていた2つのミイラ。今になって詳細が曖昧なことに研究者が気づき、中身をスキャンしてみたら意外な正体が判明したそうです。ちなみに記録上はミイラ化した心臓ということで、人間のものだと思われていたもよう。

まあ、ミイラにするくらいですから大切なものでしょう。そして大切な心臓となると、人間の心臓だと考えたくもなるもの。でも実際には心臓は入っておらず、中身は人間のものですらありませんでした

・心臓のミイラ

Live Scienceが報じています。意外な中身で研究者たちを驚かせたのは、イスラエルはハイファにある国立海洋博物館にて保管されていたミイラ。約50年前から博物館のコレクションに加えられていたもの。

博物館では、ここ数年にわたってコレクションの保存を最適化する作業を行っていたそうですが、その過程で学芸員がミイラの中身について確かなことは不明だと気づいたのだとか。

博物館でコレクションを担当するロン・ヒレル氏によると「当時は今ほど熱心に記録を残していなかった」らしく、このミイラについて確かなことは少なくとも2000年以上前のミイラということだけ。一応ミイラ化した心臓が入っていると記録されていたため、その線で調査もしてみたものの、何も得られずに終わったもよう。

ヒレル氏によると、そもそも古代エジプト人が人のミイラを作るときには、心臓を体内に残すのが一般的(全てがそうとは限らないが)だそうです。これは古代エジプト神話において、心臓が「死者の審判」の際に重要だから。

ちなみに審判の方法は、マアトという女神の持つダチョウの羽根と、死者の心臓の重さを比べるというスタイル。心臓の重さが羽根以下なら死者は永遠の命を得て、羽根よりも重ければ滅ぼされる決まりです。

・CTスキャンへ

なんにせよこのままでは困るので、ジョージ・ワシントン大学のマーシャ・ジャビット博士の協力を得てCTスキャンにかけたところ、ついに中身が判明。正体は穀物のミイラと、鳥のミイラ。一体心臓のミイラという情報はどこから来たのか……。

穀物のミイラはオシリス神を模した形状をしており、中は泥や砂と穀物を混ぜたものがぎっしり詰まっていたそうです。これはオシリス神をたたえる祭りの時によく作られたミイラと同じものだとか。

そして鳥のミイラはホルス神を模した棺に入れられており、体の一部や臓器が抜き取られたハヤブサと思われるそう。鳥は左足が無いようですが、博士いわく「なぜなのかは誰にもわからない」。より詳しい鳥の状態についてはさらなる研究が必要な段階です。ちなみに、鳥の心臓は体内に残っていたもよう。

エジプトのミイラについては、鳥のミイラだと思われていたものが実は人間の胎児のミイラだった件や、鳥のミイラの中に穀物が大量に詰め込まれていた件など、CTスキャンをして初めて本当の中身が発覚することは過去にもありました。もしかしたら、世の中には中身が思っているものと違っているミイラが割とある……のかもしれないですね。

参照元:LiveScienceナショナルジオグラフィックmediarelationsYouTube
執筆:江川資具
Photo:The Metropolitan Museum of Art